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パブリックコメント
「住生活基本計画(全国計画)の変更(案)に関する意見」

国土交通省「住生活基本計画(全国計画)の変更(案)に関する意見」に対するパブリックコメント

2011年2月16日 国土交通省住宅局住宅政策課 パブリックコメント担当者宛に提出しました。

■該当箇所) 全体構成について

【意見1】 目指す居住像・居住ビジョン

この計画が目指す将来の居住ビジョンを明示すべきである。
その方向付けとなる居住像・住宅産業ビジョンの国民的議論が重要である。

【理由】 新築住宅着工戸数の減少と空家の急増状況はここ数年及び今後の住宅政策の最重要課題である。
これは人口、産業、社会構成を含むドラスティックな変化に起因し、国民・行政・産業界が今後の居住ビジョンの国民的議論を進め、これを共有しつつ取り組むべきである。


【意見2】 計画改定の主旨

この5年間の経済社会情勢の変化、国民生活を巡る状況の変化を踏まえた、今回の計画改定の主旨や変更の重点を明示すべきである。

【理由】 この5年間の住宅事情の大きな変貌と、前計画の施策の効果に対する評価が必要で、達成状況の分析評価と今回の変更点の関係を明示すべきである。
「第4」に示す施策の効果の分析・評価に基づく国民に対する説明責任を果たしながら施策を機動的に見直す計画の範を示すべきである。変更案は全体に前計画のマイナーチェンジに見える。


【意見3】 公共住宅政策の役割

この5年間の住宅事情の変化や住宅ストックの状況を踏まえて、再認識されている今後の公共住宅政策の考え方や公共住宅の持つ意味や役割、公共住宅ストックの総合的な活用の考え方を明示すべきである。

【理由】 世界的金融危機と大不況の中、前計画時に比べ住宅困窮状況やセーフティーネットへの国民意識も変わりつつある。
改めて公共住宅の持つ意味や役割、公共住宅政策の考え方を議論し直すべきである。


【意見4】 都道府県計画、市町村計画の役割

都道府県計画、市町村計画の方向付けを明示しつつ、国・都道府県・市町村の役割を明示し、適正に調整、指導・誘導すべきである。

【理由】 「豊かな住生活」は地域性や地域の伝統文化を踏まえ、地方の民意を活かしつつ実現していくものであり、国と地方は互いの役割を踏まえて両者がコラボレイトしつつ取組むことが重要である。
住生活基本計画(全国計画)は今後の住生活政策体系の主役となる地方公共団体の取り組みの方向性を明示し、地方の自主的な取組みを啓発し、着実な政策実施につなげるべく指導・誘導することが重要である。



■2、箇所別意見



■該当箇所 第1 2 豊かな住生活を実現するための条件


【意見5】 「心の豊かな住生活」の実現

住生活基本計画(全国計画)は豊かな住生活を実現するものであり、定量的な政策だけでなく、「伝統、文化を踏まえた心の豊かさ」を実現する方向性について明示すべきである。

【理由】 国の重要な責務は基礎的性能を確保するのみではなく、「心の豊かな住生活」を実現する事も重要である。
伝統文化を踏まえ、住民と共有できるビジョンの基に実現していくためには、地方公共団体の取り組みの姿勢や方向性を明示し、着実な政策実施につなげることが必要である。


■該当箇所 第1 3 (2)市場重視の施策展開 


【意見6】 市場機能が必ずしも有効でない対象や地域

変更案では現行計画に増して、市場機能にゆだねる施策の方向性が見られるが、市場機能が必ずしも有効でない対象や地域について、きめ細かな施策展開の記述が必要である。

【理由】 市場機能が「健全に」機能するためには一定の流通量とさまざまな選択肢が用意され、需要者がそれぞれに取得可能な居住費で満足を得られる選択を求めて競争原理が働くことが前提である。
大都市圏を除けばこのような市場は存在しにくい。
また、市場機能にゆだねることが進むにつれて、高齢者や子育て世帯のみならず一般世帯についても地域間格差が広がるなど負の要因が懸念される。
格差を助長するような施策方針は、国全体の計画として不十分もしくは不適切である。大都市圏以外の地方都市においても市場が機能する中心区域が存在するなど、市場機能には抑制と補完が必要という認識に立った施策展開が必要である。


■該当箇所 第1 3 (2)市場重視の施策展開 


【意見7】 住宅市場の施策展開の指針

市場機能の活用や市場政策の手法について具体的な施策イメージやこれに対する課題についても明記し、住宅市場の健全な形成を促進する指針を作成し、着実に推進すべきである。

【理由】 住生活の向上を実現するために、住宅市場の形成による健全な競争が必要である。優れた建築資産形成のためには、過度の効率重視による弊害を防止し、健全な競争へと誘導することを明示する必要がある。
この5年間は市場重視の政策転換が進んでいるとは言い難く、これを確実にしていくため、具体的な施策イメージやそのプロセス、体制構築及びその課題についてのきめ細やかな国の誘導や連携が重要である。特に、市場のプレーヤーのモラルを醸成する体制や市場のチェック機能の確立が不可欠であり、その政策課題の認識と対応方向について明示していく必要がある。


■該当箇所 第2 目標1安全・安心で豊かな住生活を支える生活環境の構築


【意見8】 住宅の安全・衛生基準

 住宅の安全・衛生基準を定め、インスペクション等を実施し、基準を満たさない民営借家等の所有者に対して改善・除却を促す等の制度を早期に確立すべきである。

【理由】  地震時に倒壊の危険性が高い老朽木造住宅や最低限の衛生条件を満たさない住宅を速やかに解消するために、まず基準を定め、基準と整備促進制度との関係性を明示し、インスペクションや改善・除却を促す具体的な促進施策を明示すべきである。



■該当箇所 第2 目標1安全・安心で豊かな住生活を支える生活環境の構築


【意見9】 住生活の安心を支える医療・介護サービス

医療・介護については、「環境の整備」だけでは十分とはいえず、「住生活の安心を支える医療・介護等多様なサービスが受容可能な住宅の整備」についても言及すべきである。

【理由】 団塊世代の後期高齢者への移行に伴い、病院での入院治療、施設による介護サービスを受けられない多くの高齢者が、在宅のままこれらのサービスを待つ時代となる事は明らかである。これらサービス(介護福祉行為、医療行為)が行われる場としての住宅のあり方指針(居住空間の仕様、必要となる設備、ソフト的対応等)を定め、既存ストックを中心に住宅改善施策を早急に進めることが必要となる。



■該当箇所 第2 目標1安全・安心で豊かな住生活を支える生活環境の構築

【意見10】 コミュニティ問題

前計画においては「将来にわたって持続可能なバランスのとれたコミュニティ」の必要性を明記していたが、今回の変更案では削除されている。健全で持続可能なコミュニティを「豊かな住生活を実現するための条件」に継続して明記するとともに、大規模な公営住宅団地など、居住階層に著しい偏りのあるコミュニティの改善方策としての団地マネジメントやソーシャル・ミックス等について、記述を強化すべきである。

【理由】  高齢社会を迎え、地域コミュニティの衰退は大きな社会問題である。豊かな住生活の実現に向けては、住生活の基盤としての居住空間や居住を支えるサービス、コミュニティの醸成などの条件整備が不可欠である。
このため、行政、特に地方公共団体と関連部局や住宅事業者、居住者の十分な理解のもと、相互に連携し協働していくコミュニティ醸成のプロセスを関係各者に丁寧に示す必要がある。


■該当箇所 第2目標3多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備


【意見11】 アフォーダビリティ(適正住居費負担)

「豊かな住生活を実現するための条件」にアフォーダビリティ(適正住居費負担)を加え、適正な住居費負担水準はいかにあるべきかを明らかにし、その実現を図っていくための方策と方向性を示すべきである。

【理由】 「国民が無理のない負担で居住ニーズに応じた質の高い住宅が確保できること」という最も基本的かつ重要な目標で、これに関して成果指標が掲げられていないのは不合理である。「家計に占める住居費負担の割合」を取り上げ、アフォーダビリティの明確な目標を設定すべきである。
特に、公的賃貸住宅ストックの一部はセーフティネットのため公営住宅の供給の補完として位置づけられているが、多くの公的賃貸住宅ストックや民間賃貸住宅の活用については、アフォーダビリティの確保を目指すべきもので、こうした視点から公共賃貸住宅ストックとして整備・活用することを明記すべきである。


■該当箇所 第2目標3多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備


【意見12】 官民連携プログラムの明示

住宅市場の未整備状況を踏まえれば、官から民への政策転換に向けて、当面は官民連携(パートナーシップ)手法等についても幅広く検討し、これを支援していくプログラムを明示すべきである。

【理由】 市場政策の欠如から、住宅市場は地域ごとに様々な歪みと市場プレーヤーとしての民間住宅供給事業者の不足状況がある。これらの種々の市場の歪みを補完する事業として、当面は官民連携事業を精力的に進めつつ市場プレーヤーの育成と市場条件の整備等を進め、市場状況の適正化に向けたプログラムを構築しつつ取組むことが重要である。


■該当箇所 第2目標3多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備


【意見13】 民営借家の質の向上

わが国の賃貸住宅の規模水準が先進諸国に比べて際だって低く、また改善の傾向も見られないことをふまえ、これを向上させるための方策等について計画の内容を充実し、具体的な指針を明示すべきである。

【理由】  民営借家の質の向上に関する認識、検討が不十分である。民間借家の新築住宅の規模も平均50崢度で、質の向上の傾向が見られない。
市場における事業性を前提とすれば、長期の事業経営の持続と質の向上を支える事業環境(長期償還融資や長期の資産性維持、評価等)の構築に加え、アフォーダビリティを支える行政支援も重要である。


■該当箇所 第2目標3多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備


【意見14】 既存住宅の流通、空き家の活用

新設着工件数の10年分に相当するような空き家が存在する一方で、既存住宅の流通シェアの拡大が進展していない現状を踏まえ、抜本的な対策について方向性を打ち出すだすべきである。

【理由】  既存住宅の流通、特に空き家の活用に関する分析と対策が不十分である。
新築80万戸/年に対し790万戸の空家が存在しているが、都市部の空家、地方都市の空家、郡部の空家など大きく空家の性格も異なる。活用できるもの(水準等)、住宅需要、活用方法等をきめ細かく分析し、その方向について検討することが喫緊の課題である。


■該当箇所 第2目標3多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備

【意見15】 公共賃貸住宅のストック活用

国民の貴重な資産である公営住宅、UR賃貸住宅の果たすべき役割やストック活用計画について明記すべきである。特にUR賃貸住宅のストックの再編・活用について、その方向を明確にすべきである。

【理由】  国と地方公共団体の実施機関としての都市再生機構、公庫等の公的セクターの役割は大きく変容してきたが、この5年間の市場政策の停滞をみると市場のけん引役としての役割を再評価すべきである。
特に、公的賃貸住宅は少子高齢社会の貴重な政策ツールとして効率的に活用すべきツールであり、今後の役割や方向性について公共賃貸住宅のアフォーダブル性に鑑みて、国民の多様な居住ニーズ実現の一翼を担う住宅ストックとして整備・活用することを明記すべきである。


■該当箇所 第2目標4住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保

【意見16】 住宅確保要配慮者の拡充

高齢者や障害者に対応した環境整備が進められつつあることに較べ、母子家庭やDV被害者に対する環境整備が大きく立ち遅れている現状に鑑み、施策対象を拡げて表記するべきである。

【理由】 高齢者・身障者への支援と共に、DV被害者等へ支援、幼児虐待の防止は大きな社会的課題となっている。医療の面では「SACHICO性暴力救援センター」の設置をはじめとする支援策が立ち上がっており、今後は住宅施策における対応が待たれる状況にある。
DV、性暴力被害者や母子家庭が、安心して居住し、安全に社会生活を送ることができる住宅の整備等が急務であると考えられる。


■該当箇所 第2目標4住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保


【意見17】 医療・介護サービス行為実施の容易性

「基本的な施策」に伴う、「別紙1の住宅性能水準」における「高齢者等への配慮」において、「日常生活の安全性及び介助行為の容易性…」に加え、「住戸内での医療・介護サービス行為実施の容易性について」を追加すべきである。

【理由】 これまでの住宅は、主として健常かつ自立的な生活が行われる場として位置づけられてきたが、在宅介護に加え在宅医療が前提となる社会状況の変化に鑑みた場合に、住宅はこれらさまざまな医療・介護サービス行為を受け容れられる性能水準が必要となると考える。


■該当箇所 第2  別紙1〜5


【意見18】 住宅性能水準等

住宅性能水準、居住環境水準、誘導居住面積水準などの建築基準法が求める住宅の水準と各水準との関係や指標を国や地方公共団体がどのように活用して目標の達成を図るのかを具体的に示すべきである。

【理由】  「1〜4の目標を達成するために、別紙1〜5の指針を定める」と記されているが、その意味が不明確。従来の居住水準や住環境水準は公共住宅の供給根拠や住環境整備事業の採択・整備水準と連動していたが、今水準はこれらの関係が不明瞭。これらの水準を達成するための実効ある制度や事業への適用の具体的展開を明示すべきである。

■該当箇所 第2  別紙1


【意見19】  共同住宅の共同施設

1の基本機能(2)の共同住宅における共同施設の中で、「居住者の世帯構成に応じたコミュニティ形成のための共用室の確保に努める」というような項目を加え、現代の集合住宅構成として 銑ぐ奮阿龍ν兌爾僚斗彑も示すべきである。

【理由】 単身世帯、小規模世帯の増加で、家族概念、コミュニティ概念が変わりつつある。
高齢者や子育てのための共用室のある集合住宅は増加してきているが、一般の共同住宅においても、住棟単位、小規模単位でのコミュニティ構成や、まとまりのある社会構成を、集合住宅計画の中で考える時期にきている。共同住宅の共同性に関する性能水準も、住戸単位の集合体としての考え方から、より共同性を重視した住棟構成への変化を促すことが必要である。


■該当箇所 第2  別紙4


【意見20】 最低居住水準の解消

 最低居住面積水準項目に加え、安全・安心に関する項目を付加して住宅に基本性能を明示すべき。その上で、国民の住生活を向上させる観点から、最低居住水準を段階的に引き上げるべきである。

【理由】  最低居住水準世帯は依然4%強存在し、近年は解消が進んでいない。
早急にこれらの倒壊危険、狭小、老朽建築物の建替えや除却を含めて、最低居住水準未満世帯の解消と最低居住未満住宅の解消の方針を明示すべきである。
一方、最低居住水準が住宅水準の向上の足枷になっている面もあり、国民の住生活を全般的に向上させる観点から、最低居住水準を段階的に引き上げることも検討すべきである。


■該当箇所 第3 大都市圏における住宅の供給等及び住宅地の供給の促進


【意見21】 郊外部の再編

都市郊外部の現状と課題を明らかにし、都市の縮退がすすむなかで、今後、郊外部の再編をどのようにすすめるべきかについて方向性を明らかにすべきである。

【理由】  都市郊外の衰退現象に対する認識が不十分である。今後郊外住宅地においては急速に高齢化が進展し、空家の発生やコミュニティーの衰退等が危惧されている。
空間や生活機能の再生による地域再生やニュータウン再生等の総合的・多様な方策を地域の多部局、業界、住民等と連携して取り組むべきである。


■該当箇所 第3 大都市圏における住宅の供給等及び住宅地の供給の促進


【意見22】 大都市圏での住宅供給手法

 大都市圏の住宅・住宅地供給手法においては、既成市街地内における改修、建替え及び空き地・空家の活用等にシフトすべきで、住宅地の新規供給や高度利用等の積極的記述は削除すべきである。

【理由】  従来と変わらぬ有効・高度利用による住宅・住宅地の供給促進は、コミュニティー活動を支える拠点としての住宅供給とはなりにくい。
将来的に人口が減少する大都市圏においても既成市街地、既成住宅地の活用や再生に住宅・住宅地整備の重点をシフトすべきである。


■該当箇所 第3 大都市圏における住宅の供給等及び住宅地の供給の促進


【意見23】 地方都市圏・地方部の住宅供給

地方都市圏・地方部についても大都市圏と同様に住宅供給の考え方や国の方針を明示すべきである。

【理由】 国全体の人口、世帯が減少しはじめた地方都市圏・地方部における今後の住宅供給、住宅地供給の考え方を示すことは重要不可欠である。
人口減少社会の居住ビジョンの提示と共に、まちなか居住の推進に関連して、国の方針と地方公共団体がこれに適切に取り組むための指針を示す必要がある。


■該当箇所 第4 住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進


【意見24】 統計データの充実と効果分析・評価システムの充実

長期的視点に立ち、また地方公共団体の取り組み指針としてより意味がある重要な施策を充実すべく、その施策に対応した成果指標を大胆に打ち出すべきであり、5年間の実績を分析し、成果指標に必要な統計データや評価システムは別途重点的に検討すべきである。

【理由】 現案は、統計データで検証可能な指標を優先しそれに対応して施策が示されているきらいがあり、本末転倒である。
地域毎の豊かな住生活を実現する重要不可欠な施策を最大限講じることが必要であり、その検証のために必要であれば新たな統計調査を起こすことが筋である。
この5年間はその助走期間でもあったはずで、その経験を踏まえた統計調査の見直し、効果分析手法や評価システムの再構築を行なうべきである。

2011-2-16 (1125 ヒット)


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