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【テーマ】 景観法を活用した景観形成の可能性と課題
【趣旨】 昨年6月、我が国初の景観に関する総合的法律として「景観法」が制定された。景観法が制定された背景としては、平成15年7月に国が策定・公表した「美しい国づくり政策大綱」に溯る。大綱において、国土を国民1人1人の資産として、我が国の美しい自然との調和を図りつつ整備し、次の世代に引き継ぐという理念のもと、行政の方向を美しい国づくりに向けて舵を切ることを「襟を正す」という表現で率直に宣言している。 こうした国の動きの背景には、人々の良好な景観形成に対するニーズの高まりがある。近年、経済社会の成熟化とともに、人々の価値観も量的充実から質的向上へと変化し、生活空間の質をいかに高めていくかが重要な政策課題となっている。また、地域の歴史や風土に根ざした美しいまちなみや良好な景観に対する人々の意識も高まってきており、こうした意識の変化が今回の景観法制定に至った背景であると考えられる。 景観法制定以前においても、地区計画に代表される地域のまちづくりルールは用意され一定程度活用されてきたが、国立のマンション紛争に象徴されるように、問題が顕在化してからの後手にまわった対応に終始するなど、まちづくりルールを十分活用して来なかった反省もある。 景観法が制定されたことで、一気にマンション紛争が沈静化したり、優れた景観の市街地が突如出現されるわけではない。景観法はあくまで法的規制ツールの一つであり、景観法を如何に活用し街並み形成・保全を図っていくかということが、景観行政のみならず、プロジェクトの計画・設計者、住民に求められている。 こうした問題認識のもと、今回は、景観法の制定に係わられた国の方をお招きし景観法について概説いただくとともに、建築・都市計画の分野の先生方に参加いただき、「景観法の可能性と限界」、「計画・設計者の視点からみた景観形成の取り組み方、担うべき役割」等について義論し ていきたい。
【構成】 1. 趣旨説明 (株)アルテップ 中川智之 2. 基調講演 国土交通省都市・地域整備局都市計画課課長補佐 岸田里佳子氏 3. パネルディスカッション 国土交通省都市・地域整備局都市計画課課長補佐 岸田里佳子氏 工学院大学建築都市デザイン学科助教授 窪田亜矢氏 株式会社 フォルムス代表取締役 田中友章氏 4. 総括/閉会
【当日の議論のテーマ(案)】 1.景観法は今までの景観条例となにが違うのか。また、景観法の実効性はどの程度あるのか。 −景観法があれば、国立のマンション紛争は起こらなかった?
2.景観法と地区計画との違いはなにか。 −景観法だけでなく、地区計画や建築協定でも景観にかかる一定の規制誘導は可能であるが、決定的違いはなにか。
3.景観法の可能性と限界について −景観法が持つ様々なメニュー・ツールを活用することにより、景観形成上どのようなことが可能になるのか。また、限界はなにか。
4.計画・設計者の景観形成にかかる取り組み方、担うべき役割 −景観計画や景観地区は、景観行政団体が定めることとされているが、計画・設計者はどのような場面で、どういった役割を担いうるのか。また、どういった取り組み方が求められるのか。 |