第382回 集合住宅研究会 趣意書
主体性を喚起する小規模再開発
-新しいハウジングビジネスについて-
■取り上げたいテーマ:住み開き・小商い の現代の形を探り、紹介したい。都市部に住まうにあたり、まち全体で暮らすような職住近接の取り組みを共有したい。デベロッパー、運営者、設計者のそれぞれが、互いの専門領域を重ね合いながら協働する事で、従来の不動産価値を逆転させるような小規模再開発が増えつつある状況をフォローしていく。
「今ここにどんな空間をつくるべきなのか」の前提から考え、空間の設計をする「DESIGN」と、研究リサーチを行う「LAB」の二部門を掲げて活動を行なっているツバメアーキテクツ。場を使うルールやメンテナンスなど、従来見過ごされてきた建築の側面に焦点を当てた新たな建築家像を提示している。
下北線路街(下北沢地区(東北沢〜世田谷代田間)の複々線化に伴う線路跡地)の一連の作品では、BONUS TRACKでの兼用住宅の枠組みの中で、マスターリースとサブリースの仕組みによりテナントの緩やかなルールを生み、一方で借り手の空間編集も可能な施設となっているなど、住み開き・小商い の新しい形が提示されている。また、現在進行中の実籾パークサイドハウスでは、福祉施設を家のようにつくることを通して、ケアの空間が住むということにどのように関われるかという問いに向き合っている。戦後、核家族を単位として進んだ住宅開発が切り離してきた、「働く」空間や「ケア」の空間を見直すことで、これからの住まいのあり方も話して頂く。