■テーマ
「高さ制限とは―その成り立ちと超高層化、そして魅力ある都市景観の形成に向けて―」
■趣旨
建築基準法は、前身とする市街地建築物法制定まで遡ると、今年で創設100 年となる。都市計画との関係が密接な集団規定の中でも、建築ボリューム関する規定をみると、集合住宅の計画・設計にたずさわる私たちにとって、直面する課題が多いのではないだろうか。建築基準法緩和による競争力激化は、限られた枠組みの中での居住空間の確保という命題をより難解にしつつある。一方、行き過ぎた緩和を抑えるためにも、観光立国に向けた諸施策の背景からも、高さ制限や景観コントロールに関わる諸規制が導入されつつあり、設計環境はさらに複雑化している。
大澤先生のご講演を通じ、形態規制の成立が、どのように超高層化につながっていったのか、それがどのように評価され、将来どうあるべきなのかを把握することは、課題の解決にとどまらず、より良い都市環境の形成にために大きな知見が得られると思う。
一方、法実務運用の立場として金子氏からは、超高層建築が前提とする建築基準法の特例的運用や、法運用において「制限と実況の乖離」が顕在化しやすい日影規制からみた高さ制限の課題等について、ご講演いただく。
高さ制限の系譜と成果・課題の考察を通して、その役割・意義を活発に議論したい。
■テーマ
「住宅過剰社会に求められる都市計画の視点・建築計画の所在」
■趣旨
東京オリンピックの開幕を目前にして、湾岸エリアに象徴されるようなタワーマンションの建設をはじめ、都心や市街地へのアクセスを重視した立地の需要は高く、住宅の供給が進んでいる。一方、日本の人口は、少子高齢化による人口減少の一途を辿っており、この影響として、全国的に空き家が顕在化している。このように、人口(世帯)と住宅供給の均衡が崩れた状態を指す「住宅過剰社会」が、今後、住環境にもたらす社会問題は深刻化してゆくことは想像に難くない。“建てれば売れる、人口が増える”ことを妄信した都市計画や住宅政策は、スプロール現象や市街地の空洞化、空き家の増加を拡散させる結果を招いたが、これらを収束させるためにも、都市・建築分野のものづくりに携わる上で、どのような視点を持ち、「住宅過剰社会」向き合うべきなのだろうか。
本研究会では2名の講師をお招きする。東洋大学の野澤先生からは、住宅市場の現状や研究内容を通して、日本の住宅を取り巻く環境が抱える構造的な問題に対する知見を深める。また、先進事例などを通して、これからのまちづくり、集合住宅に必要となる視点を学びたい。モクチン企画の連氏からは、木造賃貸住宅の改修事業における具体例を伺い、改修における方法論とそれによって生まれた地域への波及効果について学ぶ。スケールの異なる視点を通し、新しく迎えた時代の居住空間の行く先について考える機会としたい。
■開催日時・場所
○令和元年7月3日(水) 18:00〜20:30
○建築家会館本館1階 大ホール
日時:6月21日(木)17:00〜(オフィス見学)18:45〜20:00
パナソニック汐留オフィス見学/第352回研究会及び第354回研究会(研修旅行)について/その他